飛天
平成23年 「銀河鉄道~永遠の命を求めて~」
大恐慌から前回のグランドマリン会(平成19年ザ・リッツカールトン東京)から早3年が経過しました。この間に原油や穀物相場の大暴騰、そしてリーマンショックに端を発した未曾有の世界大恐慌を経験しました。米国の著名な投資家で賢者とも評されるウォーレン・バフェット氏でさえも『絶壁から落下した』と表現しましたが、今、世界はその暗闇から立ち直りかけているのでしょうか。背水の陣弊社は前回のグランドマリン会から売上は約40%増加しました。ただ、この間私共は本当に戦争状態でありました。主力商品のチーズやマーガリン原料が2倍に高騰し、バター不足は連日マスコミが紙面を賑わしておりました。『会社が危ない』その背水の陣の中からスティリーノ(チーズ代替品)が完成し、主力となる製品の多角化を模索する動きの中からチョコレート関連製品が登場して来ました。この二つは、昨年(09年)今年(10年)と2年続けて日本食糧新聞社の業務用加工食品ヒット賞を頂戴しました。コア・コンピタンス日頃、小さな会社といえども、日本一を沢山作ろう。一つでも多く作ろう、とコア・コンピタンス(核の力)の経営を社員に訴えて来ました。まだまだ少ない数ですが、ポーションマーガリン製品類は80%のシェアで日本一、色物マーガリン類は家庭用のシェア70%で日本一、チーズ代替品はほぼマリンフードの独壇場、ホットケーキ焼成機ラインは日本最多、チョコレートフォンデュ製品はオンリーワンです。その他教育システムの整備も、暗中模索しながら現行16メニューを擁するところまで来ました。本日行なわれましたプレゼン大会決勝戦もその一環です。営業体制弊社は全国に40名の営業マンを配置しております。彼等は一人当り月間に延べ170社のお客様訪問をしています。別にミニマリン会と称して、全国から1年間に150社、人数にして300人弱のお客様を工場にお招きし、工場見学、製品案内、新製品検討会を実施しております。また同時に150社のお客様のもとへ研究員が訪問させて頂き、製品説明会を1800人の方々に実施させて頂いております。食の保守性私達の携わる食品の世界は、他の業界と比べて限りなく地道で保守的、ローテクな産業です。お袋の味つけを好む性向は死ぬまで続き、かって食べたことのない食品の出現を阻みます。過去一年間で生まれて初めて食べた食品があるでしょうか?無限の可能性しかし、私は食品ほど可能性に溢れた仕事もまた、他に類を見ないと信じる者です。人は必ず一日3食食べます。日本の食品の市場規模は80兆円です。一人年間に飲食に65万円消費しています。昨年(09年)自動車は500万台売れたそうですが1台200万円として10兆円。一人当り年間にたったの8.5万円です。住宅は人生最大の買物ですが、昨年80万戸売れたそうです。一戸3,000万円として24兆円。年間一人当り20万円です。 ダントツに食品業界の規模が大きいのです。世界に目を向けると、人口は70億人弱で市場規模は1,500兆円。これが2050年になると人口は90億人で市場規模は3,000兆円に膨らむと予想されています。目の眩む規模です。世界一の食品メーカーネスレの売上は10兆円弱でシェアはたったの0.6%です。我々全てに無限の可能性が秘められています」 (マリンフード特約店会の社長挨拶より、平成22年11月10日)
400年前のスペインの作家セルバンテスが書いた『ドン・キホーテ』という作品がある。痩馬にまたがり、騎士道を信じ、風車に向って突進するドン・キホーテの物語が語り伝えられるのは、その夢が非常識なものであるにかかわらず、あくまで美しいからである。600年前、世阿弥は『花伝の書』を著わし「舞は能を源としているが、その舞には花がなければならない」と伝えている。6代目尾上菊五郎は、生涯踊り続けた人生の最後に及んでなお「まだ足りぬ、踊り踊りてあの世まで」と辞世の句を詠んだ。 「『日本は通商国家ですか』――。こんな質問をすると、多くの人は『何を当たり前のことを』と思うだろう。......だが、通念と実態にはズレがある。『経済規模に比してみれば、日本は世界でも有数の貿易が不活発な国』。......その国の経済がどの程度貿易で支えられているかを示す貿易依存度の世界首位は香港の354%。一方日本は22%で世界178ヵ国中なんと175位。同じ工業国として日本と競う韓国やドイツは60~80%。......日本への海外からの直接投資残高は2000億ドルでGDPの4%。この数字は主要20ヵ国地域の中で最も低い。......来日外国人数はまだまだ少ないが、近年は日本から外に行く人も伸び悩み、米国の大学への日本人留学生は中国人留学生の5分の1にとどまる。......『世界の孤児』の感がぬぐえない」 (日経新聞平成22年12月14日朝刊)
「日本は殖産興業の時代から第2次世界大戦を経て、1980年代の奇跡的な経済成長の間も持ちこたえた日本の社会構造は、いろいろな意味で産業化が始まる以前の社会構造とまったく変っていない。......日本は西洋との邂逅を経て、めまぐるしいほどの速さで産業化を推進した。第2次世界大戦が終わると、突如として世界で最も平和主義的な国に生まれ変わった。......1990年には金融危機の影響で経済成長が止まったが、このときも運命の逆転を淡々と受け止めた。 日本が大きな社会変革を経ても基本的価値観を失わずにいられるのは、文化の連続性と社会的規律を併せ持つからである。......その上日本には、実力本位で登用された有能なエリート支配層があり、その支配層に進んで従おうとする、非常に統制の取れた国民がいる。日本はこの強みを持つがために、他国であれば混乱に陥るような政策転換を、難なく実行することが出来る」 (ジョージ・フリードマン「100年予測」)
「歴史上初めてと言ってもいいかも知れません。世界で貧困に苦しむ人々の数が減少しています。過去10年間、1日1ドル未満で暮らす貧困層の数が減少しています。......バングラディッシュもそんな国の一つです。毎年総人口の2%に当たる人が貧困から抜け出しています。......経済成長が一番の理由です。GDP成長率が、人口増加率を上回っている。......私たちは農村におけるリーダー育成、小学校がない地域での教育の提供、農業技術による生産性の向上、安価な医療サービス、法的な支援、マイクロファイナンスも手がけています。 企業とNGOは対立するイメージがあるかもしれませんが、それは違います。我々は、地域の中小企業や起業家を、教育、技術、金融など様々な面で支援しています。......貧困問題の解決に関して、企業と現地に根ざしたNGOが協力できる分野はたくさんあります。貧困層が豊かになれば、企業にとって大きな商機が生まれることは言うまでもありません」 (世界最大のNGO会長ファズレ・ハサン・アベッド)
事業の繁栄発展の究極は、たった二つのコンセプトから成り立っている。 一つは成長拡大させること。もう一つは安定させることである。この二つの哲理を同時に戦略課題とし、実行して、はじめて繁栄発展が起こる。二つのうち、どちらかの一つが欠けても事業の繁栄発展はあり得ない。 「2009年6月。全世界に約40万人の社員を擁する米IBMは、継続的かつ卓越した技術実績を残した社員に与えられる技術職の最高職位『IBMフェロー』に全盲の日本人女性研究者を任命した。日本IBM東京基礎研究所でアクセシビリティ・リサーチの研究チームを率いる浅川智恵子博士。豊中市内の小学校時代にプールで泳いでいて頭を壁にぶつけて怪我をしたのがもとで中学2年生のときに失明。盲学校で点字を学び、大学は英文科。職業訓練センターでコンピューターと出会った。......諦めずに山を乗り越えた浅川は、25歳で学生研究員としてIBMで研修し、英語の自動点訳の研究が評価され翌年正式採用。......コンピューターにできることは急激に増えて、可能性はまだまだ広がる。社会に参画するためにウェブが極めて重要な情報源だからこそ、すべての人が簡単に使えるものにし続けていかなければいけない。そのために社会に働きかけ、世界の大学に共同研究を働きかけ、浅川の日々は多忙を極める」 (「ひととき」平成22年12月号)
「人間は誰でも、本来、何事をも、自分が深く思い、考えた通りに成すことが出来る。自分がもし出来ないと思えば何事も出来ないし、出来ると信念すれば、何事もなすことが出来る。つまり、すべてが、自分が自分自身に課した信念のとおりになる」 (中村天風「成功の実現」)
「『マリンフードのスティリーノシリーズが、平成22年度の『第24回新技術・食品開発賞』(日本食糧新聞社主催)を受賞しました。 同品は2007年~2008年度のチーズ原料価格高騰に対応して開発されました。ナチュラルチーズ100%品に比べ、約2~3割安価な価格設定、味わいや溶け具合などナチュラルチーズと遜色のない品質、また低コレステロールという付加価値を謳い文句に、 市場での認知と需要の拡大を目指しています。 マーガリン製造メーカーとしての油脂加工技術を応用し、ナチュラルチーズの主成分である乳脂肪を植物油脂に置き換え、良質な乳たんぱくと乳化させました。業務用では安価なチーズ代替品として、家庭用ではコレステロールをカットした健康志向商品として消費者の支持を頂いております。 商品名のスティリーノとは『未来のチーズ』という意味をこめた造語であり、ギリシャ語のスティ(未来の)とティリ(チーズ)を組み合わせてネーミングしました」 状況は必ずしも楽天的ではありません。しかし、この環境の激変に耐え、激しい競争に生き残り、目標にチャレンジし、売上や利益が順調であり続ける事ほど企業やその社員にとって幸福なことはない。そんな会社を、未来につながるナイスカンパニー、エクセレントカンパニーを創り上げることが出来れば、その原動力となることが出来れば、偶然に入った会社、偶然に出会った運命の中で、一回きりの私達の人生が、どんなに輝いたものになるだろう。 「われわれにはすごいアイデアも、ひどいアイデアもなかった。......ささやかなことを毎日毎日行い、できるだけ堅実に、一歩ずつ正しい方向に進む。それが経営だ」 (「ゴールドマンサックス」より)
今年で事業発展計画発表会は25回を数える。この間の成果は、まるで遅々とだらだら坂を登る歩みであった。私の好きな「都会の牛」の言葉のように。そして今年、日本・世界の再生を目指すうねりの中で今年の指針を「銀河鉄道」(永遠の命を求めて)と銘打って船出した。 私は大いなる願望(マリンドリーム)達成に向い、ひたすら精進し、方向を決定し、理念を固め、誠意をもって、情熱あふれる経営を推進することを、天から課せられた使命だと考え、実行する。 平成23年1月29日
取締役社長 吉村直樹 |