飛天
平成15年 「地上の星(Shine like stars)」
- 飛 天 -
(平成15年度事業発展計画書より)「年間10万人以上が中退して行く。この現状を変えるには、高校を魅力あるものにするしかない。1学年の約半分の百人以上が中退し、東京でも最も『指導困難』と言われた都立高校を、5年で変えた校長がいる。
隅田川のほとりに立つ都立新田高校。鈴木高弘校長が教壇に立つ。1年生の生徒たちが耳を傾けていた。すべての机は埋まっている。
近くの高校の教頭から赴任したのは1997年秋。廊下には菓子やパンの包み紙が散乱し、天井は棒で突いた穴だらけだった。1年生の授業では勝手に廊下に出る生徒が続出。逆に、120人もが中退してしまった3年の教室は『不気味な静けさ』に包まれていた。
担任たちは、生徒の遅刻や欠席日数が規定を超えると、さして慰留もせずに「進路変更です」「アルバイトが面白くなったそうです」と中退を報告してくる。生徒名簿に斜線を引きながら、鈴木校長はむなしかった。『そんなはずはない』。どう理由付けしていようと、中退の先に生徒の夢や幸せがあるのだろうか。
校長室の窓から、生徒が塀を乗り越え"脱走"するのが見える。そのたびに追いかけた。教師たちには、欠席している生徒と連絡を密にとるよう念を押した。
『生徒の居場所が必要だ』と、長イスを置いた『談話コーナー』を設けた。ほうきとちりとりを手に校内を回り、生徒に気さくに声をかける。落書きだらけの壁は用務員と2人で塗り替えた。いつしか、廊下を散らかす者はいなくなった。
教育内容も見直した。基礎的な計算や漢字の小テストに取り組ませ、午後には体験型の総合学習など『学校に残りたくなる』授業を配した。河川敷のゴルフ場支配人に頼み、体育で無料のラウンドレッスンを体験できるようにした。都清掃局に話すと、粗大ゴミに出されたゴルフクラブが200本も送られてきた。
地元住民に『ご意見番』を依頼し、好きな時に授業を見てもらった。閉鎖的だった学校の体質が変わっていった。
成果が目に見えたのは、99年春の入試だった。受験倍率が、学区に属する都立高で2位の約1.8倍に跳ね上がったのだ。
独自に考案した新カリキュラムが、受けた。『スポーツ健康』『福祉教養』『情報ビジネス』の3つの『学系』から1つを選ばせ、2年次以降は進路や関心に応じた学習を進める。
推薦入試の倍率は昨年、女子で7倍を超えた。『あきらめムード』だった教師らが、周辺の中学を100校も回り、学校をPRした。
中退者は激減した。一昨年春の入学者では11人、昨春では5人になった。(読売新聞平成15年1月7日朝刊)
400年前のスペインの作家セルバンテスが書いた『ドン・キホーテ』という作品がある。痩馬にまたがり、騎士道を信じ、風車に向って突進するドン・キホーテの物語が語り伝えられるのは、その夢が非常識なものであるにかかわらず、あくまで美しいからである。 600年前、世阿弥は「花伝の書」を著わし「舞は能を源としているが、その舞には花がなければならない」と伝えている。6代目尾上菊五郎は、生涯踊り続けた人生の最後に及んでなお『まだ足りぬ、踊り踊りてあの世まで』と辞世の句を読んだ。
『古代への情熱』の著書で有名な考古学者のシュリーマンは、トロイアの遺跡の発掘に成功する16年の前に、幕末の、世情騒然としているはずの日本を訪れ見聞記を残している。
「......私は心躍る思いでこの島に挨拶した。これまで方々の国でいろいろな旅行者に出会ったが、彼らはみな感激しきった面持ちで日本について語ってくれた。私はかねてから、この国を訪れたいという思いに身を焦がしていたのである。
......日本人はみんな園芸愛好家である。日本の住宅はおしなべて清潔さのお手本になるだろう。日本人が世界でいちばん清潔な国民であることは異論の余地がない。どんなに貧しい人でも、少なくとも日に一度は、町のいたるところにある公衆浴場に通っている。
......彼ら(日本の役人)に対する最大の侮辱は、たとえ感謝の気持ちからでも、現金を贈ることであり、また彼らのほうも、現金を受け取るくらいなら『切腹』を選ぶのである。
......ここでは君主がすべてであり、労働者階級は無である。にもかかわらず、この国には平和、行き渡った満足感、豊かさ、完璧な秩序、そして世界のどの国にもましてよく耕された土地が見られる。
......もし文明という言葉が物質文明を指すなら、日本人はきわめて文明化されていると答えられるだろう。なぜなら日本人は、工芸品において蒸気機関を使わずに達することのできる最高の完成度に達しているからである。それに教育はヨーロッパの文明国家以上にも行き渡っている。シナをも含めてアジアの他の国では女たちが完全な無知のなかに放置されているのに対して、日本では、男も女もみな仮名と漢字で読み書きができる。」
「人間は誰でも、本来、何事をも、自分が深く思い、考えた通りに成すことが出来る。自分がもし出来ないと思えば何事も出来ないし、出来ると信念すれば、何事もなすことが出来る。つまり、すべてが、自分が自分自身に課した信念のとおりになる」(中村天風「成功の実現」)
私達は、宇宙の悠久の歴史の中で、全くの偶然に、運命の悪戯から、同時代に生まれ、マリンフードに働いている。食品産業に従事している。
そして、
事業の繁栄発展の究極は、たった二つのコンセプトから成り立っている。
一つは成長させること。もう一つは安定させることである。この二つの哲理を同時に戦略課題として、実行して初めて繁栄発展が起こる。二つのうち、どちらかのーつが欠けても事業の繁栄発展はあり得ない。
マリンフードは4つの大方針を持っている。
1.コア・コンピタンス(核の力)
2.カスタマーフォーカス(お客様第一主義)
3.スピード(早さ)
4.マネジメント・バイ・ワンダリングアラウンド(経営は歩き回りながら)
我々の会社にとって"核"となる力がどこにあるのか。何が自分の本業であり、自分がどの分野で戦うべきかを知り、そこへ経営資源を集中し、そこでN01になる。いくら企業の規模が大きくても、コア・コンピタンスを見極めないまま事業をやみくもに拡大したところで勝算はない。世界の波の中で沈む。中小企業だから大企業に負けるのではない。『自らが勝負できる分野を見定めぬまま事業を展開するから、大企業に負ける。』
環境の激変に耐え、激しい競争に生き残り、目標にチャレンジし、売上や利益が順調であり続ける事ほど企業やその社員にとって幸福なことはない。そんな会社を、未来につながるナイスカンパニー、エクセレントカンパニーを創り上げることが出来れば、その原動力となることが出来れば、偶然に入った会社、偶然に出会った運命の中で、一回きりの私達の人生が、どんなに輝いたものになるだろう。
ホームページのプレゼント応募者からコメントが寄せられる。
「今月ももちろん応募させていただきます!!いつも楽しみにしています。先日、知り合いの方から『北海道ホットケーキ』をいただきました。早速次の日の朝食となりました。一日の元気の元となる朝食はとても大事なので欠かせません。この日はバター入りマーガリンとメープルシロップがシミシミの北海道ホットケーキとカフェオレ、それにフルーツヨーグルトで完璧!!美味しい一日の始まりで、仕事もメキメキこなせました。」
取り引きはないのだが、豪州の大手チーズメーカーの「ワーナンブール社」の役員会議の資料の中に次の文章が挿入されていた。
「Marinfood is a shining star」
今年で事業発展計画発表会は17回を数える。この間の成果は、まるで遅々とだらだら坂を登る歩みであった。しかし本田宗一郎氏は次のように言っている。「俺はこれまで一回も失敗というのを絃験したことがない。成功するまであきらめずに続けたからだ。」
この事業発展計画書は、私か精魂こめて書きあげた、お客様に対する考え方、あらゆるサービスの姿勢、心、信念する経営思想をまとめたものである。
全社員とその家族が、豊かで、明るい生活を営むために遂行しなければならない必達の売上、必達の利益が明示してあり、それを実現するすべての戦略、方針、構想、実行手段が網羅されている。
私は、この必達の売上、利益確保のために、お客様第一主義を採り、競争力を強化し、新しい市場開拓を行い、情熱あふれる経営を推進することを、天から課せられた使命だと考え、実行する。
平成15年1月25日
取締役社長 吉村直樹