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パブリシティ

新聞 食品新聞 2021年10月4日(月)

植物性チーズ「スティリーノ」ブランドで差別化

スティリーノブランド初の燻製品発売

吉村社長

代表取締役
吉村 直樹社長

 創業商品のマーガリンをはじめチーズ、バター、ホットケーキのほか、常温加工食品ではピザソース、卵スープなど幅広く展開。特に主力のチーズ類は全体売上高の7割を超えるまでに成長し、全国に配荷されている。
 同社代表的商品の一つがチーズ代替品の「スティリーノ」ブランドで、吉村直樹社長は「当社の強み」と強調する。現在の食品市場では、代替肉、代替ミルク、代替ヨーグルトなどの植物性商品が脚光を浴びているが、各代替商品群の中でシェアトップと推定されるのがスティリーノだ。
 「スティリーノ」は、チーズの主成分である乳脂肪を植物油脂に置き換え、乳たん白と乳化させた素材で、100%でも利用できるがナチュラルチーズをブレンドすることも可能で、シュレッドからダイス、スライスと幅広く展開している。最大の強みはコスト競争力と冷めても柔らかい物性。味は「チーズも含めたブラインドテストで好みの配合を追求」する。
 発売14年目を迎えるスティリーノの開発秘話について吉村社長は「当時チーズが大暴騰した。その時にお客様にどう提案すべきか必死になって試作を繰り返した結果、生まれた商品」と振り返る。
 また、チーズ類の売上構成比は、2010年の56%から20年には73%と格段に上がっている。これについても「チーズ類の売上構成比7割を目指したわけではない。すべての商品を強化する上で、時代時代の環境変化に柔軟に対応し、諸課題の解決を図った結果であり、チーズ類が時宜を得たと思う」と話す。
 今期1~8月の売上状況(前年同期比)は、業務用が厳しく家庭用が堅調に推移し全体で1.1%増。中でもチーズ類は9.2%増。20年7月から埼玉工場が稼働し、同社として新たなカテゴリー商品「スモークチーズ」と「6Pチーズ」の生産を開始し、売上がプラスオンした。また、今春の新商品でクリームチーズをベースとした乳などを主要原料とする食品の「美しい白」シリーズ3品、フレーバータイプバターの「りんごバターホイップ」「ガーリックバターホイップ」が徐々に配荷率を上げている。
 今秋の新商品は、9月3品、11月12品と、従来の倍以上となる計15品を投入する。スティリーノブランドからは、初の燻製品としてチーズ50%とスティリーノなどをブレンドすることでコレステロール30%オフした「燻製チーズブレンド」を新発売した。チーズ市場はここにきて原料高騰が厳しくなっており、一方で外食市場は厳しい状況が続いている。品質的評価の高いスティリーノ製品の提案で業務用市場再構築の一端を担う。
 今後強化していく商品群について吉村社長は「全カテゴリー、環境変化に柔軟に対応していく」と話す中、「輸出事業の強化」を挙げる。現在の売上構成比は数%とまだ少ないが、「世界で戦っていける商品を作り上げたい」と静かな闘志を内に秘めている。
 今後も「柔軟な環境対応」と「諸課題解決」を第一に取り組む中で、将来的には「まったく新しい分野の商品が生まれているかもしれない」とのことだ。