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パブリシティ

新聞 日本食糧新聞 2014年9月10日(水)

地域食品産業貢献賞受賞企業

時代と市場の「変化」見据えて

吉村直樹

吉村 直樹社長

 マリンフードは、業務用をメーンに、マーガリンとホットケーキ、チーズの3本柱で展開する。その時々のマーケットを見据えた、新発想の商品開発に独自性があり、例えば、ポーションマーガリンや、ガーリックなどのフレーバーマーガリン、植物油脂を主原料としたチーズ代替「スティリーノ」など、ユニークな商品を次々に誕生させている。そうした商品を、新市場創造する広報・宣伝、営業活動を行いながら地道に育成し、マーケットに定着させている。特に、ホテルやレストランですっかり普及したポーションマーガリン・バターは、市場の約8割を占めるに至っている。
 同社3本柱の中で、近年もっとも伸長しているのがチーズ事業で、前年度(13年12月期)も全売上高の6割以上を占めている。そこで一昨年、フル稼働となった泉大津工場に続くチーズ専用工場として、滋賀県に「長浜工場」を竣工した。同社では近年、従来の業務用シュレッド中心の展開から、流通業のPBや留型商品を中心に家庭用へとチャンネルを拡大していることもあり、新工場では主に小袋商品のシュレッドやキャンディーほか、新参入となるベビーやスライス、スティリーノラインも設置。生産能力倍増を目指し、順調に歩みを進めている。

独自発想で新ジャンル商品続々

新市場創造への地道な育成開花

マリンフード本社

大阪・豊中市の本社

 スティリーノに着目すると、今上期(14年6月期)は物量で前年比74.4%も伸長した。そもそも原料チーズの国際相場高騰に対応し開発したものが、最近では一般的なチーズよりコレステロール値が低い、健康志向商品としてのポジションを確立している。特に流通PBや留型で商品化が進み、配合比率により「コレステロール◯◯%カット」をうたう商品が多数売場に並んでいるためだ。そこで、ナチュラルチーズ(NC)、プロセスチーズ(PC)に続く第3のチーズとして、新ブランド戦略に乗り出す。
 また、乳製品の需要拡大が見込めるアジア諸国を中心に、海外戦略にも積極的で、既に台湾や香港、タイで販売している。海外は和食ブームだが、チーズに関して日本は後発国だ。だが、PCに関して、多様なフレーバー、アイテムなどで「欧米やオセアニア諸国製品と比較しても強みがある」と確信し、海外の食品展示会でPRに努めるとともに、現地の食品企業や流通業と取組み、規模拡大中だ。
 その一方、地域貢献を目指し、近隣住民に同社製品を販売する「ふれあいセール」を定期開催し、本社工場だけでなく泉大津工場や長浜工場にも広げた。さらに社員のボランティア活動を義務付けるほか、地元・豊中市「ふれあい緑地」に「マリンフード豊中テニスコート」、大阪国際空港周辺緑地整備の一環として「マリンフード豊中スイミングスタジアム」を寄贈するなど、精力的に活動している。

■主力商品


「第3のチーズ」としてPR

スティリーノ
 第3のチーズ、スティリーノ。植物油脂主原料のチーズ代替品として、原料価格高騰に対応して07年末、同社が独自開発した。一般的なシュレッドチーズより安価かつ安定価格のメリットに加え、NCと比較で遜色ない味わいや溶け具合、冷めても硬くならないソフト食感などの特徴がある。加えて最近、コレステロールカットできるヘルシー食品としての認知も広がっている。
 そこで、居酒屋や宅配ピザなど業務用はもとより、流通PBや留型商品を中心に、家庭用小袋商品も拡大している。
 一方、植物性チーズに関して、先進国アメリカでは全チーズ市場の約1割を占めるとされ、背景にベジタリアンの増加や、「ヴィーガンダイエット」称する乳製品や動物性食品を摂取しないダイエットが流行していることがある。また「スキニー」と称し、多様なヘルシーレシピが開発・公開されている。
 そこで同社は、日本にもこの波が到来するよう仕掛けることで、「第3のチーズ」ブームを巻き起こす戦略的PR活動をスタートする。
 具体的には、食品展示会出展や外食でのメニュー展開、メディア連動などを複合的に活動することで、3年後の1万t達成を目指している。