新聞
日本食糧新聞 2014年6月27日(金)
乳製品の需要拡大
プロセスチーズ フレーバーなど勝負
和服姿の現地マネキンを使って、日本発プロセスチーズの優位性をPR
海外は和食ブームだが、チーズに関して日本は後発国だ。しかしプロセスチーズに関して、多様なフレーバー、アイテムなどで、欧米やオセアニア諸国製品と比較しても「差別化が打ち出せる」と判断。加えて、現地スーパーで乳製品は売られているが、ほとんど海外輸入に頼っており現地メーカーが少ないことから、「勝負できる」と判断した。
ただ同社の場合、原料チーズの多くを輸入に頼っており、高い関税がかかり、価格競争力がない。そこで輸出製品に限って、これが免除される「保税認可」を一昨年夏、国内乳業メーカーで初取得した。同時に海外食品展示会にも積極出展し、韓国や台湾、香港、シンガポール、タイ、ベトナム、ハワイ、アメリカに出向きPRしている。
実際商売が動き出したのは一昨年からで、台湾では主力小売業、香港は日系スーパーに、タイではEPA(経済連携協定)を活用して、現地の家庭用乳製品大手のKCGと取組み、日系はもとよりローカルスーパーまで順次導入中という。
ただ現地商品との価格差や所得水準の壁はある。また参入当初から、現地パートナー企業ブランドで順調にCVS導入された韓国では、目下国民感情から日本商品が総じて敬遠されており「この間失敗と成功を繰返してきた」(営業本部販売開発室国際課松本智行係長)と、やはり苦労も尽きない。
今後に関しては、輸出国に関して、東南アジア諸国はもとより、フィリピンやラオス、カンボジア、イスラム圏のマレーシアやインドネシアなどにも拡大する一方、原料供給国でもあり、消費量が大きいアメリカやオセアニア諸国への逆輸出もチャレンジする考え。目下ハラール認証や市場性などを綿密に調査中だ。
商品的には、チーズだけでなく、現地と価格差の大きいホットケーキも「北海道」ブランドが受け入れられ、チャンスはある。また、同社独自開発した植物油脂主原料の「スティリーノ」に関して4月、台湾輸出をスタートさせた。同品は一般的なチーズより、コレステロール値が低く「健康志向が高まっている現地に積極的に訴求したい」(松本係長)と意欲を示している。