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生協流通新聞 2011年4月20日(水)
「チーズシュレッド」など拡販へ
タイムリーな新商品を続々投入
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――貴社の沿革。
「前身は明治21年(1888年)に創業した『吉村石鹸工場』。その後、昭和20年代初頭にマーガリンの製造を開始し、現在はマーガリンのほかバター、チーズ、ホットケーキ、ピザソースやジャムなどを製造販売している。
売上高は2005年まで80億円程度だったが、06〜07年のオーストラリアの干ばつの影響や、BRICs諸国の台頭による需給バランスの崩壊などでチーズ・バターの価格が高騰した際、植物性油脂を原料にしたチーズ代替品『スティリーノ』を開発。これが爆発的にヒットし、一気に120億円を超える企業となった。
元々は"マーガリン屋"だったが、現在の売り上げ比率はチーズ類56%、マーガリン・バター類29%、ホットケーキ類5%、ソース・ジャム類5%、その他受託加工品等5%と、チーズの構成比が圧倒的に高くなっている」
――現在の販路。
「ホテル、レストラン、喫茶店、居酒屋、電車の食堂などの外食産業全般と、学校給食、事業所給食、百貨店、スーパーマーケット、生協、宅配、食品メーカー、通販業者など。売り上げは業務用が59%、家庭用が41%。商品構成はNBが36%、PBが64%になっている」
――品質管理について。
「生産拠点は大阪・豊中の本社工場と泉大津工場の2か所。05年に泉大津工場でISO9001を先行取得し、翌年全社で取得した。
ISOに準拠した生産・営業活動を行うと同時に、5S活動や係長以上の社員による工場定期巡回チェック、社員から提案があった朝晩機械を拭く『一拭き運動』を励行するなど、衛生面や安全性には細心の注意を払っている」
――今年度の計画および重点目標。
「売上高は10年12月期が約122億円。今年度は135億円を見込んでいる。
重点目標は、ここ数年の継続になるが、1.コア・コンピタンス 2.カスタマー・フォーカス 3.スピード 4.マネージング・バイ・ワンダリング・アラウンドの4つ。
1は、競合他社が真似できないオンリーワンの商品を開発すること。また、一つでも多くの№1商品を持つ企業であること。2は、何があってもお客様第一に対応すること。3については、社長直轄のメールアドレスで社員が直接情報や意見の交換ができるなど、すべてにおいて迅速に対応する体制を築いている。
4は、経営は現場を歩きながら自らの目で見て行うということ。本社および全国の支店・営業所の営業スタッフは、月間で新規50件を含む150件の訪問をノルマとしている。
これらの取り組みと積極的な新商品の投入が奏功し、着実に売り上げが伸びている」
――新商品の開発について。
「取扱品目は約660。新商品は毎年約150品目を投入している。過去5年間に開発した新商品の売り上げシェアは、全体の50%を超える。それだけ時代のニーズにマッチした商品をスピーディーに投入しているのではないかと自負している」 ――生協取り組みの現況。
「生協取引が本格的に始まったのは、03年に『ガーリックマーガリン』をコープやまぐちに納入してから。現在は全国の事業連合をはじめ、コープさっぱろ、東都生協、コープあいち、コープこうべなどの大手生協へ、年間延べ20〜30品目を納入している。
このうち『ガーリックマーガリン』はほとんどの生協に納入しており、『たらこスプレッド』『ブールコンポーゼ・ド・パリ』も複数の生協に納入している」
――今後の提案商品。
「新商品では『米粉で作ったホットケーキ』と『食べるラー油スプレッド』、既販品では『新食感とろ〜りやわらかシュレッド』『手延ばしピザクラスト角型』『たらこスプレッド』などを提案していく。
特に、『新食感――』は一般市場で非常に人気の高い商品だが、生協では大阪いずみ市民生協の店舗で販売されているのみ。このほど、コープネットの会員生協店舗での採用が決まったことから、この勢いを他の生協へも繋げていきたい。ナチュラルチーズ30%と良質な乳たん白を乳化させた『チーズ素材』を70%ブレンドしており、健康に気を配っている人にもおすすめの商品。
このほか、コープネットで8月から留め型商品の『もちっとサクッと角型ピザ用クラスト』の販売を予定している。こうした取り組みも伸ばしていきたい」
――今後の目標。
「現在、生協での売り上げは宅配が中心で、店舗に商品を置いていただいている生協はまだまだ少ない。今後は店舗での採用増を目指していく。同時に、多いところでは12〜13品目、少ないところでは2、3品目と生協によって納入品目数に差異がある。多い生協を基準に納入品目数を増やしていきたい」