雑誌
月刊「油脂」Vol.62 No.12(2009)記事
マリンフード(株)
好調続く家庭用の植物性チーズ
ラードベースの“チャーハンの素”を開発
こうしたチーズ類の好調な販売を受けて、泉大津のチーズ専用工場の勤務体制を11月から3交代24時間稼働に組み替えて増産体制をとっている。そして来年2月から泉大津工場に新しいラインを導入し、生産能力を1.5倍にする計画だ。
わが国のチーズ市場は、2007年着実に成長を続けているが、この1年の価格乱高下で消費量は約15%減少し、10年前の24万トン水準まで落ちてしまった。その中で、同社が118%の伸びを達成しているのは驚異だ。こうした高い伸びを支えた植物性チーズ「スティリーノ」はチーズの高騰を受けて2年前に開発された。
この製品は植物油脂がベースになっており、商品分類上では油脂加工食品であり、同社の油脂加工技術により産み出された製品だ。実際に市販されているのは、このスティリーノに、チーズを混ぜたもので、中心は「乳等を主原料とする食品」になっている。
ここ数年、同社は家庭用市場に画期的な新製品を次々と投入しており、やはり2年前に発売した「たらこスプレッド」も150g398円とかなり高価格なスプレッドなので、半信半疑で取り組んでみると、予想以上にリピートが返ってきた。1度食べるとこの味が癖になって、やめられないという人も現れ、販売数量を伸ばしている。
他社にない特徴のある商品開発を目指しているが、今年は「ぎゅっと絞ってパラッとチャーハンの素」を開発した。ラードをベースにガーリック風味の調味料を加え、ご飯と卵で作れるチャーハンの素として売り出している。家庭でチャーハンを作ると、ご飯がくっついたりし勝ちだが、このチャーハンの素を入れると専門店のような仕上がりになる。ラードのコク味とガーリックによって、おいしいチャーハンができ上がる。
同社は家庭用の売り上げ構成比を高めることで成長を図ってきたが、今期は家庭用の売り上げが40%に達している。3年前の18%から、20%、28%と伸び、今年は40%の大台に乗せた。植物性チーズがその原動力になっている。
業務用分野の新製品では、リテイル向けのポンドバター「ミルクを食べる 香りたつ乳酪バター(有塩)」を発売している。この「ミルクを食べる」シリーズは、家庭用、業務用共通のブランドとして、今年から採用したもので、今年は業務用に2品、家庭用に4品を投入している。
また、スティリーノをベースにしたチーズ風素材として「とろ〜りやわらかシュレッドライト1kg」として、業務用に新発売した。コレステロールを56%カットした健康訴求のチーズとして、業務用でも注目される。