コラール 伊織
古代穀物が、新たな命をまとう
フードビジネスニュース
2024年6月26日
ドナ・ベリー筆
2024年6月26日
ドナ・ベリー筆
食物について「すべての古いものは、再び新しくなる」とは、消費者が、食べ物の選択をシンプルにし、人の健康と地球の健康を改善しようとするトレンドを意味する。
古代穀物は、文明の始まり以来、人々に食されてきたが、西洋諸国においては、選択的に育成され、精製された穀物が、経済上の利点を与えてきた。
古代穀物の魅力的な属性は、多くが農薬や肥料そして水の供給において、少ない量で育ち成長することである。二酸化炭素排出量について考える消費者にとって、それが古代穀物を魅力的な選択肢にしていると、ネブラスカ州リンカーン市のソルガム・ユナイテド社の最高経営責任者である、ネイト・ブラム氏は言う。
「気候変動が世界の食品安全を脅かしつつある現在、ソルガムやきびは、他の穀物が育たない過酷な状況においても、その強靭な生命力によって命綱となるような穀物です」とブラム氏。
こうした性質により国連は、2023年、「国際きび年」の宣言を行った。きびの持つ健康上の恩恵と維持可能性についての意識を高めることを狙ったものだ。
「きびは、その強靭さと、最小のリソースで栽培できることで知られている古代穀物です」と言うのは、ノースダコタ州ファルゴ市に拠点を置くダコタMB社のの副代表者であるタランド・フィーゼル氏である。「きびは、土壌のやせた乾燥地帯、半乾燥地帯においても成長し、多くのメインストリームの穀物と比べ、ほんの少しの水と肥料しか必要としません。きびはまた、短い期間で成長できるために、他の穀物が失敗するような天候においても、植えることができます。」
古代穀物を原料としているメーカーは、維持可能性と健康に焦点を当てたストーリーを伝えるために、古代穀物の持つ特定の性質に着目している。世界中の様々な地域に多くの古代穀物が由来する一方、今日、多くが米国内で生産されている。「Made in US」にまつわるストーリーとして重ねられていく。
たとえば、テフは、何千年もの間、エチオピアの伝統的な定番食であってきた。テフは、まろやかでナッツのような風味を持ち、鉄分/カルシウム/マグネシウム/亜鉛をバランス良く含む。今日、同じ穀物が、テキサス州、アイダホ州、ネバダ州を含むアメリカ南西部で育てられている。
「古代穀物は、それらがどのようにアメリカにもたらされたか、古代においてどのように栽培されていたかについて、語られるべきストーリーを持ちます」とベイ・ステート・ミリング社のユリーン・ザマー氏。「小さな農場で栽培でき、小バッチで生産、製粒することができます。それにより、「地元の」という主張をすることができ、食品がどこから来ているのかについて知りたい消費者の心に響くのです。」
消費者はまた、彼らの食に含まれる原材料について関心を持っている。消費者の半分近くが「あなたにとって良い」だけでなく「地球にとって良い」食を欲しているとするアーデント・ミル社の報告書に見られる。
「アーデント・ミルズ社による再生農業プログラムを通して、わたしたちは、作物の植え付けローテーションに、メインストリームでない穀物を導入する家族農場をサポートしています」と同社シューラ―氏。「新しい作物をローテーションに加えることが、生物多様性の回復と土壌の健康の改善につながります。」
「こうした原材料が農家に与える恩恵は、土壌の健康を超えて、水資源の保全といった他の土地管理にまで広がります。