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社内報マリン

マリンフードでは年に3回社内報を発行しています。社内報の一部の記事をご紹介します。

米国食品事情vol.64

2010年5月17日
吉村 伊織

つかんで出発?エレガントさも忘れず!

ますます多くのホテルが、大急ぎのビジネス客のため、ロビーにテイクアウトの食事を用意しはじめた。


エレーヌ・グルサック筆

タホ・プロヴィジョンは、ネバダ州タホ湖近くのハイアットホテルの中の、つかんで出発タイプのフードを提供する店だ。
「ランチを食べるために時間を費やすのがいやだったんです」ニューヨークのグランドハイアットホテルのゲスト、マルコ氏は言う。
彼は、ホテルの中の、食事をとる席がなく、デリカッセンタイプのサンドイッチやマッシュポテトをつけたローストチキンなどのフードを提供する直販店によって、問題を解決することができた。
「私はとっても感激したんです」マルコ氏は言う、「20分車に乗らないといけないことはわかっていたので、サンドイッチをつかんでタクシーの中で食べることができたんです」
仕事しながらランチを食べたり、同時にいくつものことをこなすマルチタスクは、多くのビジネス旅客にとっていつものこと。現在起こっているのは、多くのホテルが、競って、ファーストフードタイプから、より洗練された種類のものまで、こうした顧客の要求を満たす食事を提供し始めていることだ。
「ビジネス客は、旅行中の時間を有効に使おうと、一日に多くのタスクをつめこみがちです。」1300の部屋を有するグランドハイアットの副社長であり事業部長であるマシュー・アダムスは言う。「顧客が、ホテルからスターバックスに怒涛のごとく流れ出していくのを見るんです。」
朝食からランチまで、スターバックスがホテルから多くの顧客を盗み取った成功を目撃した多くの接客業者は、旅客にとって便利で財布にも優しいフードのオプションによって反撃することにしたようだ。それらは、テイクアウトできるルームサービスから、多彩な種類を用意したフードコート、多国籍のグルメマーケットなどを含む。
「ビジネス旅行客にとって肝心なのは、生産性と時間の有効利用です。」ニューヨーク大学の旅行マネージメント部の教授、ビョーン・ハンソンは言う。「ホテルのダイニングルームは、これまで、サービスの遅さと値段の高さが有名でしたから。」
ロチェスター大学の開発発展部長、アラン・カルマシンはほとんど週一ペースで出張するが、マサチューセッツのアロフト・ホテルに滞在することが多い。そこでは、ゲストは、24時間セルフサービスのカフェ、レフューエルにて、自分でベーグルを焼いたり(2ドル)、朝食サンドイッチ(6ドル)をつかんだり、箱に入ったサラダ(6.5ドル)をテイクアウトしたりすることができる。
「時間があったら、座って食事をしようと思いますが、部屋で仕事をしたりするときに、つかんで即出発できるタイプのフードは、便利なんです。」カルマシン氏は言う。「アロフトホテルのプログラムはいいです。贅沢ではありませんが、顧客の時間と都合に優しいです。」
アメリカ国内に全40ホテルを運営するアロフトホテルは、設立されてまだ2年。カルマシン氏のような、自給自足タイプの出張客をターゲットに設立された。
シェラトン、メリディアン、ウェスティン、アロフトなどホテルを統括するスターウッドホテル&リゾ-トグループの副社長、ブライアン・マックギネスは言う、「最近の傾向は、顧客が自給自足のサービスを希望するようになったことです。彼らは自分でチェックインし、自分でコーヒーを入れます。顧客は、彼ら自身の方がよっぽどいいサービスをすると思っていますから。自分でコントロールできるというのが、重要な要素なんです。」
ホテルは、テイクアウトできるフードのプログラムによって、売り上げはむしろ増加したという。多くは、景気の不調によってもたらされた財布の不安を、その人気の理由に挙げる。
「人々は、朝食に25ドル、さらにチップを払うことを快く思わなくなりました」ニューヨーク大学のハンソン氏は言う、「テイクアウトは、経済的な状況にも合っているのです」
ホテルの中のレストランにおいてテイクアウトのフードを提供するだけでなく、マリオット・インターナショナルは、ロビーにマーケットを設置することを決定した。今月、ロンドンのマリオット系列のグロブナーハウスでは、サンドイッチやサラダやお菓子などを売る、けれども高級感あるマーケット、パークレーン・マーケットを設置する。オーランドやフェニックスなど、リゾ-トにおいてもフードマーケットをオープンすることが決定されている。
消費者にとってコストカットできるだけでなく、最近の傾向は、売る側にとってもコストダウンだと、ウェブ上でビジネスを行うジョー・ブランカッテリは言う。「ホテルにとっても都合が良かったのは、食事を提供するために低コストなやり方だからです。ルームサービスより安いものはないでしょう。」
「確かに。」と、ニューヨークのグランドハイアットの副社長は顧客に同情して言う、「ゲストが、伝統的なルームサービスの目玉焼きに38ドル払うことに理解できなくても、当然でしょう。どこにその金がかかっているのか理解できませんからね。」
諸経費のかからない、つかんで出発タイプのフードは、今までそこに客が流出していた、ホテルではないベンダーの販売価格に近い。顧客のお金をホテル内にとどめる試みの一環として、グランドハイアットのマーケットは、ビールやワインも、その他の食事やスナックと共に販売することにした。6本パックを飲みきれなかったら?7月に始まる改装によって、ロビーで購入した品を保存する冷蔵庫が各部屋に設置される予定だ。

出典: http://www.nytimes.com/2010/05/06/business/06FOOD.html