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社内報マリン

マリンフードでは年に3回社内報を発行しています。社内報の一部の記事をご紹介します。

全国マーガリン製造協同組合第34回海外視察事業

二〇〇八年ロシア・ウクライナ視察団

団長レポート マリンフード株式会社 吉村 直樹

未知との遭遇

ツバメの巣城

 海外旅行の大きな魅力は「未知との遭遇」や「非日常経験」でしょうか。しかし、全国マーガリン製造協同組合の恒例の海外視察旅行も昭和48年にスタートし延べ34回を数える段になると、旅先の選定やテーマに一工夫が求められ、その要旨に沿った6つの候補案の中から、今回は「ロシア・ウクライナ」が決定されました。
 理由の一つは、過去一度もこのエリアを訪問していないこと。二つ目は、昨今の食糧原料の高騰や安全を巡る諸問題が続発する中、食糧自給率の低い日本として、世界有数の肥沃な農地を持つウクライナを新たな原料供給地と考えることが可能か。三つ目は躍進するBRICsの最右翼とも見られた現代ロシアの実情確認です。
 しかし旅行はスタートから意外な緊張含みとなりました。出発の数日前にウクライナと同じ黒海沿岸の国グルジアとロシアが戦争状態とのニュースが飛び込んで来たのです。今回の旅行代理店であるJTBからの情報、外務省の公式見解を慌ただしく取り寄せた上での出発とならざるを得ませんでした。結果、参加者は無事当初通りの15名でスタートいたしました。

視察レポート

クレムリンの塔

 12日間の視察訪問内容は、バター製造工場、ケチャップメーカー、粉卵メーカー、チーズ輸入商社、日本商社(キエフ、サンクトペテルブルグ)、ウクライナ農政所(シュミットローマン農政副大臣)、ウクライナ商工会議所(スクリプチェンコ会長)、ウクライナ乳業協会(ボンダレンコ会長)、クリミヤワインワイナリー、スーパーマーケット(キエフ、モスクワ、サンクトペテルブルグ)、各地の歴史建造物等々でした。その成果、内容につきましては各メンバーそれぞれに担当が割り当てられ別紙レポートにまとめられていますので興味ある方は閲覧を申し出てください。参加者各人が各様に実体験をした生の報告であり感動が記載されています。
 ただ私の実感を少し申し上げれば、まさにこの国々が発展の途上にあるのだなと言うことです。旅程の最後は飛行機の乗り継ぎ時間の合間の3時間のヘルシンキ市内観光でしたが、それまでとは全然違う明るさ、豊かさを感じたのも正直な感想です。ウクライナ農政副大臣や商工会議所会頭との面談では、彼らが日本を遠い豊かな国と憧れている様子も窺われ、遠い国から来た使節団としてテレビインタビューも受けました。日中30℃近いヤルタからモスクワへ降り立つと気温は5℃前後でクレムリンの衛兵の横ではたき火が焚かれていました。以前に比べると随分豊かになりましたと商社の方が話しておられましたが、資源大国ロシアの隆盛はまだ社会の各層には行き渡っていないようでした。

突然のお別れ

 さて引き続き、今回の旅行の途次で起きた悲しい出来事を報告しなければなりません。参加者の一人月島食品工業㈱社長で当旅行の副団長でもありました中秋勝彦氏が、なんと急逝されたのです。
 判明、発見されましたのは旅程6日目の8月30日の朝ヤルタのホテルをチェックアウトし、これからモスクワへ向かおうとする時でした。前夜夕食後8時半頃ホテルに帰館され、自室の洗面所で倒れられたようで、後日、死因は脳出血と知らされました。その前夜ですが、ヤルタ会談が行われた元ニコライ2世の別荘というレストランで夕食を摂りました。4人掛けのテーブルで中秋社長は吉村の隣りに座っておられ、終始明るく快活にワインなども飲まれながら、会社のこと次年度の旅行先のこと(中秋社長が団長に内定していた)を喋っておられ、体調不良の様子は全く見られませんでした。各視察先でも闊達で知識の収得に熱心に取り組んでおられ、特に8月28日のヤルタのワイナリーで気持ち良さそうにワインの試飲を続けておられた姿が脳裏に焼きついて離れません。それだけに団員一同皆唖然として言葉もない状況でしたが、翌モスクワでの夕食前に全員で黙祷を捧げさせて頂きました。ここに団員を代表しましてご遺族や会社の方々に心よりお悔やみ申し上げ、中秋社長のご冥福をお祈り申し上げる次第であります。

最後に

 最後になりましたが、旅行中種々の突発事項に際し、一貫して冷静な対応を示していただいた添乗員の堀田美樹さん、並びに会社をあげてサポートして下さったJTB、現地事情をレクチャーしていただきました三菱商事様、そして各視察先の選定設営と旅の最後に格闘技の世界チャンピオン ヒョードル(ロシア)との懇談の席をもうけてくれた友人トカチョフ・コンスタンチンさんに心から感謝申し上げます。ありがとうございました。