#26 パーム油を知る

研究部Aチーム課長 岡田清文 | 更新日:2007.02.01

2007年2月1日
第26回「パーム油を知る


 マーガリンには様々な油が使用されている事は以前のコラムで紹介しました。今回はそのひとつであるパーム油について採り上げたいと思います。

 パーム油はパームヤシ(アブラヤシ)から搾り取った油でその用途は幅広く、食用をはじめ洗剤、塗料、化粧品などにも使用されています。また近年ではバイオディーゼルの原料としても注目されています。このような用途の広がりから生産量も1960年に年間7万トンあまりだったのがここ数年で3000万トンを超え、今では大豆油に並んで重要な農産物資源になっています。
 この流れはマーガリン業界も例外ではなく、近年はパーム油が積極的に使用されています。それには、(1)品質劣化が起こりにくい。(2)特有の風味が弱く加工しやすい。(3)供給が安定している。(4)比較的安価である。(5)数少ない天然固体油である。(6)トランス脂肪酸含量が低い。などの理由があります。これらはどれも食用油脂の特性として重要ですが中でもマーガリンを作る上で再認識されているのが(5)と(6)です。
 マーガリンは固体と液体の油脂を混合して適当な硬さを調整しますが、自然界に存在する固体油脂はあまりありません。そのため液体の油脂を固体に加工するのですが、その際に生じるトランス脂肪酸を多量に摂取すると人体に悪影響を及ぼす可能性があるんではないかと昨今問題視されています。今では加工技術の進歩によりトランス脂肪酸を発生させずに固体の油脂を得る方法も確立されていますが、天然の固体油脂を使用するのも方法のひとつです。そこでパーム油が更に積極的に使用されるわけです。

 「パーム油が使用されているものといえば?」こんなアンケートをすると、石鹸や洗剤という回答がめだちましたが、実際はそのほとんどが食用です。となると多くの人が頻繁に口にしているという事になります。毎日食べるものの原料が何であるか?これを機会に興味をもってもらえるとうれしい限りです。