<NCDEにて> |
オーストラリア乳業界の概要 Peter Wilson Dairy Australia:Industry Analyst |
| 乳の生産量については、順調な伸びを示していたが2003年の干ばつで生産量が減り、現在もその影響が残っている状態。乳量自体は横ばい(100万リットル増)。また、乳量は一定なのに対し全体的な牧場主の数は減少傾向にあるが、これは小さな牧場が廃業する一方、大きな農場の規模が拡大していっているため。 世界120カ国に乳を輸出。中国の需要も増えてはいるが、種類に関係なく安いチーズをスポットで買うというやり方がほとんどで、安定した輸出先ではないとのこと。 |
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オーストラリアの牛乳の品質 Neil Willman Cheese Expertise:Cheese Consultant and Educator |
| チーズ製造に適した乳の成分があり、構成成分の良い牛を繁殖させている(70%がフリージアン種、残りがジャージー種)。最近では穀物飼料を与える量が増えているため、一頭あたりの乳量が増えてきている(5000リットル/頭)。 品質を保つ方法として、乳房炎の牛の早期発見(乳内の白血球の量)、残留抗生物質、一般生菌数、低温微生物、耐熱性菌、等のチェックを欠かさない。特に微生物基準限度を超えた乳が供給されたときは、生産者(牧場主)に価格上のペナルティを課している。 |
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ナチュラルチーズの製造方法 Neil Willman |
| 標準化 乳成分(主に脂肪分)を調整し一定の乳を作ること。チーズ製造は、たんぱく質と脂肪分の量に左右される。各チーズには、それぞれの法定FDM(Fat in Dry Mutter:乾燥固形分)または目標FDMがある。低脂肪チーズを作るときには、この標準化の工程で脂肪分を調整する。また、FDMだけでなく、(水分)/(脂肪分以外の成分)の数値も重要となる。自動化ライン中に抜き取、赤外線で5分以内に確認できる。 また、低塩テイエンチーズを作るときは、通常の成分の乳で塩分だけを減らすと脂肪分に影響を及ぼし、組織の荒いチーズができる。熟成は通常の熟成をさせず低温(冷凍もある)で保存する。 殺菌 チーズ製造用の牛乳はすべて最低72℃で15秒間加熱されなければならない。オーストラリアでは、73-75℃で16-18秒間(メーカーにより異なる)。殺菌効果は、ホスタファーゼ検査によりチェックされる。 チーズスターター添加 スターターは、熟成時に組織の構成や、風味の生成を補助する。酸を生成し目標のpH値を達成タッセイさせる。バルクスターター、冷凍濃縮スターター、フリーズドライ濃縮スターターといった種類がある。 凝乳 硬いチーズは酵素(レンネット)により凝乳し、クリームチーズは乳酸により凝乳する。レンネットには、動物(子牛)のレンネット、発酵レンネット、微生物のレンネットがある。レンネットは均一に拡散していることが重要である。 カッティング・加熱・攪拌 チーズによってカッティングサイズを変える。硬いチーズはより細かくカットする。加熱、攪拌することでさらに水分が排出される。 加塩 ホエーの排出、風味付け、保存、スターターの働きを止めるといった意味で塩を加える。加塩の方法には、乾燥カードに塩分を混ぜる、ブラインに漬ける、チーズ表面に乾燥塩をすり込むといった方法がある。チーズ全体の塩分濃度と水分中に含まれる塩分濃度(S/M:Salt in Moisture)が重要である。S/Mが高いと保存性が良く低いと保存性が悪い。 熟成 熟成とは、脂肪分、タンパク質、ラクトースが分解されること。熟成に影響する要因としては、チーズの水分含有量、熟成温度、チーズのS/Mがある。
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