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#17 乳化~マーガリンを作るために必要な働き~

-------- | 更新日:2005.08.18

研究部Aチーム 川村敏美

 マーガリンは全体の約80%が油脂、約16~7%が水で出来ています。つまり、マーガリンはほぼ油と水から出来ている食品、と言っても間違いではないでしょう。

 でもちょっと思い浮かべてみてください。油の中に水を注ぐとどうなりますか?よくかき混ぜても、そのまましばらく放っておくと、油と水の二層にきれいに分かれてしまいますよね。昔から、お互いに性質が合わなかったり、仲が悪いことを「水と油」に例えられることがあるのもこのためです。では、この油と水からどのようにして、あのなめらかで均質なマーガリンが出来るのでしょうか?

 その秘密が「乳化」と呼ばれる働きにあります。マーガリンには普通、「乳化剤」と呼ばれる添加物が使われます。これは、油とも溶け合い、水とも溶け合うという相反する性質を同時にもつ物質で、ちょうど油と水が接する部分に分布して乳化状態を安定に保つ役目をしています。乳化を利用した食品は私達の身近にたくさんあります。牛乳、アイスクリーム、マヨネーズ、ドレッシング・・・。また、食品以外でこの働きを利用したもので皆さんにいちばん馴染みがあるのは"石鹸"です。石鹸は普通、汚れを落とすために使いますが、この汚れはたいていの場合、水に溶けにくいものです。石鹸は乳化(界面活性ともいいます)作用をもっているためにこの汚れを包み込み、水の中に溶け出すことで汚れが落ちるのです。

 マーガリンと石鹸、一見すると全く接点のないもののように思えますが、実はその利用原理は全く同じなんですね。今でこそマーガリンが主力商品の一つであるマリンフードも、その歴史を紐解いていくと、石鹸工場が前身の会社なんですよ。