#6 チーズの歴史
研究部Bチーム | 更新日:2001.02.01
チーズはアジアから世界へと拡がった チーズの起源をはっきり記した資料はありませんが、古代遺跡の発掘品などから、乳製品づくりが数千年以上の昔から行われていたことが分かっています。 チーズの発祥の地はアジアという説が有力です。 古いアラビアの民話に、チーズ誕生にまつわる、こんな話があります。 遠い昔、アラビア商人が羊の胃袋でつくった水筒に乳を入れ、ラクダの背にくくりつけて旅に出ました。暑い砂漠の中を歩き続け、さて、水筒の乳で喉を潤そうとしたところ、驚いたことに乳は一滴もなく、黄色っぽい水と白い固まりが出てきました。恐る恐る食べてみると、この白い固まりが非常においしかった。これがチーズ発見の物語です。 この物語はさまざまなことを教えてくれます。この物語で重要なことは、羊の胃袋に含まれていた「レンニン」という酵素により乳が固められ、振動と砂漠の高温によって脱水されたということ。この原理は、何千年経った今でも、チーズの製造工程に採用されています。 古文書によると、今から1300年以上前の飛鳥時代、日本でもチーズの原形と考えられる乳製品「蘇」がつくられていました。朝鮮半島から仏教とともに搾乳の技術が伝えられ、蘇の製法も渡来人から教わったと考えられますす。不老長寿に効く薬のような貴重な食品として、蘇を朝廷に献上する制度が300年間も続いたそうです。 しかしその後、乳製品は一旦歴史の舞台から姿を消し、再び歴史に現れるのは江戸時代になってからです。徳川吉宗によって酪農が始められ、「酪」という乳製品を一般人も食べるようになりました。 本格的なチーズ製造の歴史は、明治時代に北海道の官営施設や民間で始まりました。 そして戦後、プロセスチーズが昭和38年に学校給食に取り入れら、東京オリンピックや万博を契機にヨーロッパのナチュラルチーズが普及し始めました。 以後現在に至るまで、プロセスチーズ、ナチュラルチーズの消費量は増加の一途をたどり、戦後数十年の間に百数十倍もの急成長を見せています。 |